051145 ランダム
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銀の月 蒼の風 黎明の海

銀の月 蒼の風 黎明の海

第六話





 皆、真実を信じる。事実を受け入れない。だから私は、ずっと偽り続けてきた。

馬鹿な自分を。皆が事実を信じないのは、怖いから。恐怖を抱いているから、信じない。

無いモノとして扱う。何故そんな事わかるのかって? それは、私が経験者だから。

私は生まれて直ぐに、妙なチカラを持っていた。それは、風を操るチカラ。

両親は私をバケモノと罵った。母は、自分のお腹からバケモノを産んだ責任を取って

死んだ。最後に「お前など生まなければ良かったのに」と私を睨みつけて......。

それからだ。私が『偽る』というのを身に付けたのは。もう、独りになるのは嫌だったから

ずっと偽り続けた..........真実の私を





第六話 ~真実と事実~





「どうしたの? 何で固まってるのさ。変なの」



 私は今まで通り接した。すると、ナルトと白雨はホッと息を吐いた。だけど、シカマルだけは

ずっとこっちを見て........否、睨んでいた。



「シカ? どうしたんだ」

「ナルト....お前、分からn「ナルト、こっちに来て。九尾の話を聞きなよ」



 何を言おうとしていたのか分からないけど、この術はあまり長くは持たない。だから

早く用件を済ませようと、シカマルの台詞を遮る。ナルトは首を傾げながらシカマルと私を見ていたけど

私が急かすと言う通りに従った。



「九尾、後頼んだぞ。話した後は消えても良い」

【分かった。では、話すぞ小僧】



 私は、九尾から離れ、白雨とシカマルの元へと戻る。相変わらず、シカマルは厳しい目つきで私を見る。

一体何なのだろう。こっちで私は一度も能力は使っていない。使えるかどうかも怪しい。

なのに、シカマルは私を警戒しながら見ている。それはまるで、私の能力を知っているかの様子。



「シカマル、何か知っているのかな? 私のことを。それとも........」



 シカマルと白雨が息を呑むのが分かった。私は偽りの仮面を外して、シカマルを見て嘲笑う。



「我の事か?」




ゾクリ...



 私の冷たい声にシカマルは冷や汗を流した。白雨も平常心を保っているかの様に見えるが

内心はドクドクと脈打っている筈だ。そんな二人の様子を見て私は苦笑する。



「冗談だよ。気にしないで」

「.......昔」



 ポツリとシカマルが話し始めた。



「昔、巻物で呼んだ覚えがある。白と黒の神に守護されていた一族のことを」





ドクンッ



「......え?」

「........」



 何だ、この感じは....。私はこの一族の事を知っている? 否、私は知っていたんだ

でも、何で?



 私は遠くでナルトの怒鳴り声を聞きながら、シカマルの話を聞いていた。



「その一族は、さっき言った通り、白と黒の神に守護されている。白の神こと『白羅』。これは蛇だ」



 シカマルの言葉にピクリと白雨が反応するが、シカマルと私は気付かなかった。

否、気付けなかった。シカマルはその巻物を思い出すように目を瞑っていたから。私は

行き成りの頭痛と話を聞くので一杯だったから。



「黒の神こと『黒羅』。これは龍だ。白の神は大地、黒の神は天空を司る神だ」

「大地と...天空」

「そうだ。そして、ある日、一族の長の子供が生まれた。その子供には、生まれながらに

 蒼の神の守護を受けていた

「あ...お」

「そうだ。名は『風羅』。これに実態は無い。風を司る。そして、その子供の名前は夜月

 一族の名は――天紫あまし






「夜月様はわたくしが御守りします」

「夜月、加減は如何だ?」

「僕も夜月が大好きだよっ」


「夜月様っ 御逃げ下さいっ」

「早く逃げろっ お前だけは何としてでも――」

「夜月は........生きて」







「いやぁぁぁああぁぁぁああああああぁぁぁぁ」





 私の叫び声にナルトと九尾が駆けて来ているのが気配で分かる。白雨も驚いて私を抱きしめる。

だけど、私は今、それど頃ではない。通常では考えられないほど、頭が痛い。

まるで、内側からナニカが「解放しろ」と情報を押し出しているようだ。

とにかく、痛い。痛いしか、言い様が無いほど凄く痛かった。



「貴様っ 夜月に何をするっっ」

「俺の憶測なら.....こいつは『天紫 夜月』に間違いない。だから、忘れている様だった記憶を戻してやったんだ」

「余計な事をっ お前、殺されるぞっ」

「は?」

「此処は『天の森』。この意味が分からない訳が無いだろっ」

「......っ!?」



 痛いイタイいたい......助けてっ



「っ 誰か.....っあ」

「夜月っ」

「あぅっ 痛いっ 嫌だ 助けて 黒羅っ 風羅っ 白羅っっ」



 私の声を受けて、湖が光った。それと同時に、私の周りに風が舞う。私が痛みに耐えながら

薄っすら眼を空けると、白雨の体が光っていた。私は頭痛がするのも忘れ、慌てて白雨を抱きしめる。



「白....白羅っっ」

【やはり.....神か】

「知っているのか? 九尾」



 ナルトと九尾は打ち解けたのかフレンドリー? な仲になっていた。ナルトの質問に九尾は頷く。

シカマルは白雨に言われた「殺されるぞ」の意味がやっと分かり、急いで九尾とナルトの後ろに行く。



【我も一応神なのでな。よく逢うのだ。そこの蛇も例外では無く、色んな神にも良く逢うぞ】

「そうなんだ。九尾は何の神なんだ?」

【我は朱の神。名は『朱王』。火を司る】

「火か。あぁ、だからチャクラの色が赤なんだな」

【そうだ、中々賢いではないか】

「おいおい、悠長に話している場合じゃないみたいだぜ」



 シカマルが指を刺して言う。指を刺した方には湖があり、その真上に黒い龍が姿を現していた。

そして、夜月の傍には、 白雨....否、白羅と風羅が居た。風羅は姿を見えないが、ずっと

小さな竜巻が夜月の傍にある....居るので多分、それだろう。



「夜月様....御久しぶりです。お元気でしたか?」

「風羅....」

「どうした夜月。何かあったのか?」

「....黒羅」

「夜月.....ごめんね」

「白羅っ」

「相変わらず、夜月様は白羅様が御好きなのですね」

「妬けるか?」

「馬鹿を言わないで下さい」

「...悪かった」



 私は力の限り白羅を抱きしめた。「ずっと忘れていて、ごめんんなさい」と誤りながら。

白羅も「何も言わなくてゴメンナサイ」と誤っていた。私は、何故この間哀しい気持ちに

なったのか分かった。(第三話~天の森~参照)

この温もりを一度、失ってしまったからだ。私の大切な大切な白羅。私は白羅に恋をしていたんだ。

だけど、私は人間で...白羅は神で。叶わない想いだった。今も、想っている。だけど、この想いを

伝える事は無い。恋仲になったら、きっと強くなるだろう。だけど、その反対に

弱点にもなる。神は常に狙われている。私が恋仲だと知れたら、私を劣りとするだろう。

そして、白羅はそうなったら確実に我を捨て、私を助けるだろう。だから、私は

この想いを伝えない。たとえ、白羅が想っていてくれても......。私はそれを切り捨てる。

もう、あの日の二の舞にはなりたくは無いから............。















































05/8/03


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